五世紀頃から約四百年間にわたって中国・朝鮮半島を経て伝来したアジア諸国の音楽舞踏をもとに、平安時代に完成された器楽と舞、それが「雅楽(ががく)」です。
奈良時代までは、様々な外来楽舞はほとんど渡来したままの形で演じられていました。しかし平安時代になると、これらは次第に整理統合され、日本化されていきます。その日本化の動きの中で、当時は二十種類以上あったとされる楽器が今の数へと厳選され、或いは舞をなくした楽器のみの演奏形態「管絃(かんげん)」も生み出されていきました。また、音楽理論も体系化され、例えば、中国では六十あった「調子」(洋楽における「調」)が六調子に整理されました。
このような外来楽舞の一大変革と同時に、日本人による作曲、編曲も盛んに行われ、ここに、極めて繊細、優雅な日本独自の雅楽が完成されたのです。